風邪は難病?

俳優の今井雅之さんが大腸がんで若くして亡くなられました。

腹痛などの症状から最初の医療機関を受診した祭に「胃腸カゼ」と言われたが、その後も症状が続くために受診した他の医療機関で進行した大腸がんが見つかったとのことです。 今井さん自身も最初の医者を「ヤブ医者」呼ばわりしたり、所属事務所もその時にわかっていたらもっと生きられたなどと発言しているようです。また現在ネットでは最初に診察した医師が誰かと「犯人探し」のようなことも行われていると聞いて、大変残念な気持ちになりました。

「風邪や胃腸カゼ」という病気は診断に必要な検査も治療法もないのです。つまり風邪を風邪と確定できる検査はなく、根本的な原因(この場合はほとんど何らかのウイルス)を治療する方法もありません。 そういう意味において風邪は難病なんです。我々医師は問診や診察からその患者さんが「風邪だろう、風邪かもしれない」と推測できるのみです。

ですから鼻水、咳、痰、下痢なんかの症状で受診した患者さんに「これは風邪ですか?」と訊かれることが時々ありますが、これが医師にとってはすごく難問なんです。一見風邪っぽく見えていても実は他の病気が隠れている可能性は常に考えておかなければなりませんから。 いちど「風邪か?」と訊く患者さんに「それは現時点ではっきりとは断定できない。」と説明すると「それでも医者か!」と怒鳴られたこともあります。無理なものは無理なので相手にしませんでしたが。

ではどうするか? 数日経過を観るしかないのです。もちろん希望される場合には総合感冒薬、咳止め、タン切り、解熱剤、整腸剤などを処方しますが、これらはすべて対症療法といって薬が効いている間だけ「症状をごまかせるかもしれない」程度の効果しかありません。 根本的には体の抵抗力で原因のウイルスが出て行ってくれたら症状はよくなります。 いわゆる風邪の場合は5-7日程度でウイルスが出ていきますので逆にこれを超えても症状が続く場合は風邪以外の病気を考えないといけないのです。 当然最初の段階で風邪どころではない強い症状がある場合や、典型的な風邪の症状・経過と外れる場合は必要な検査をして診断治療に突き進みます。

ですから私は風邪だろうと考えた患者さんにも「現時点では風邪を想定して経過を観ましょう。もし症状が続く、悪化する場合は風邪以外も考えて必要な検査をしましょう。」と説明し、ほとんどの場合は回復されます。風邪の可能性が高い患者さんに、最初から血液検査やCTなどのリスク、コストの掛かる検査を行うことは安全上も医療経済的にもありません。特に夜間の救急外来は詳しく調べるために開かれているわけではないのでなおさらです。

私は今井さんが最初にどのような症状で病院に行ったのか、診察した医師が実際にどのように診察・説明したかは知り得ません。 ろくに診察もせずに「はいはいただの胃腸風邪だから大丈夫大丈夫!」と適当に説明していたのかもしれませんが、「現時点では胃腸風邪を想定して、数日経っても改善しない場合は詳しく調べましょう。」ときちんと説明していたかもしれません。でも往々にしてそういわれた患者さんは「病院にいったら風邪っていわれた。」としか思っていないことの差が今回の騒動の原因になっているのではないでしょうか? 

不要なトラブル、医療費の浪費をさける意味でももっと一般にこのようなコンセンサスが常識として広まればいいなぁと思います。医師は状況や今後の見通しを理解できるようにきちんと説明しなければなりません。またマスコミも無知なのか、ワザとは知りませんが事態を煽るような記事を面白がって書き立てるのも控えてほしいですね。

2015年6月2日(文)院長:荒牧陽

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